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村上 裕晃; 西山 成哲; 竹内 竜史; 岩月 輝希
応用地質, 64(2), p.60 - 69, 2023/06
放射性廃棄物の処分分野において、ボーリング孔が適切に閉塞されたことの妥当性を確認するための確認項目を整理する目的で、ベントナイトを用いたボーリング孔の閉塞試験を行った。閉塞材の定置前後に閉塞区間を対象として注水試験を行った結果、本研究で目標としたとおり閉塞材がその上下の区間を分断していることを確認できたことから、適切に閉塞されたことを確認する手法の一つとして注水試験が有用であると考えられた。一方、一度閉塞した区間に高差圧が生じた結果として閉塞部に水みちが生じたことから、高差圧が生じる条件では、閉塞材を移動させない等の対策が講じられていることが確認項目として挙げられる。計画段階では、岩盤の水理地質構造に応じた閉塞材のレイアウトや仕様が検討されていることが重要である。また、ベントナイトを閉塞材とする場合は、ベントナイトが孔内で膨潤して体積が増加、密度が低下して透水係数が上昇するため、このことが念頭に置かれている必要がある。加えて、ベントナイトを計画深度へ定置可能な搬送方法であることや、複数材料を組み合わせる場合は閉塞材の性能を低下させない配置であることが確認項目として挙げられた。
齋藤 龍郎
FNCA Radiation Safety and Radioactive Waste Management Newsletter (Internet), (17), p.6 - 7, 2022/03
アジア原子力協力フォーラム(FNCA)ニュースレターにおいて、原子力研究施設並びにRI等からなる、研究施設等廃棄物の処分について仕組みを概説するとともに、FNCAの2020年度からテーマとなったNORM取扱いについて、日本のガイドラインを概説した。
阿部 健康; 飯田 芳久
Journal of Advanced Concrete Technology, 20(3), p.236 - 253, 2022/03
被引用回数:2 パーセンタイル:13.23(Construction & Building Technology)本論文は、放射性廃棄物処分におけるバリアシステム構成材料の性能評価について、日本の現状をまとめたものである。まず、"安全機能"の概念について概説し、続いて先行事例であるベルギーの短寿命低中レベル廃棄物処分の閉鎖後性能評価について概観する。そしてベルギーの事例について、その評価モデルや評価手法を"曼荼羅"の概念に基づいて分析する。同様の方法で日本の事例についても分析し、その結果をベルギーの事例と比較することにより、日本の今後の技術的課題を指摘する。
高橋 知之*; 内田 滋夫*; 武田 聖司; 中居 邦浩*
KURNS-EKR-11, p.97 - 102, 2021/03
農作物や水産物への元素の移行係数等の生活圏環境移行パラメータに対するIAEAのデータベースの取りまとめ状況や、わが国における放射性廃棄物処分の被ばく線量評価におけるデータベースの活用の状況について概説するとともに、将来の具体的な放射性廃棄物処分の地域における被ばく線量評価を想定した場合に対し、今後の生活圏環境移行パラメータのデータベース構築に必要な戦略、整備されるべき観点、課題点等に関して、専門家の意見と総合討論の結果について取りまとめた。
太田 雅和; 田中 拓*
Journal of Environmental Radioactivity, 201, p.5 - 18, 2019/05
被引用回数:4 パーセンタイル:16.8(Environmental Sciences)放射性廃棄物地下処分施設から漏洩するCHは、土壌中で微生物による酸化を受けてCOとなる。既存のC移行モデルでは、土壌中COの植生への移行が主に葉面吸収によって起こることが仮定されている。一方、COの経根吸収の影響は把握されていない。本研究は、COの経根吸収が植生へのC移行に及ぼす影響を評価するため、土壌中のCHの輸送と酸化をモデル化し、これを陸面CO移行モデル(SOLVEG-II)に組み込んだ。モデルによる土壌中CH移行の計算性能は、深部土壌へのCH注入の野外実験データを用いて検証した。次に、モデルを地下水面(深度1m)からのCHの連続放出時の陸面C移行に適用した。土壌中で根が浅く分布(深度11cm)する状況では、植生へのC移行ではCOの葉面吸収の影響が支配的となり、葉へのC蓄積の80%に寄与した。一方、根が地下水面近くまで分布(深度97cm)する状況では、葉へのC蓄積の半分以上(63%)が経根吸収によってもたらされた。更に、メタン酸化が土壌深部(深度20cmあるいは80cmまで分布)で起きた場合には、葉に蓄積したCの全量が経根吸収によってもたらされた。これらの結果から、根が地下水面近くまで分布し、CHの酸化が土壌深部で起きる場合は、COの経根吸収が植生へのC移行において支配的となることが明らかとなった。
西原 健司
ImPACT藤田プログラム公開成果報告会「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」 成果報告書・資料集, p.28 - 31, 2019/03
本プロジェクトでは従来の高レベル放射性廃棄物に含まれていた長寿命の核分裂生成物(LLFP)を分離し短寿命化するとともに、資源化可能な元素を分離する。LLFPの短寿命化によって、地層処分に代わり、数十mの浅い地中に安全要求を満たして処分できる可能性があることが示された。また、資源化可能な元素を安心して再利用できるように、考え得る被ばく経路に対して評価を行い、安全な放射能濃度を推定した。
西原 健司
ImPACT藤田プログラム公開成果報告会「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」 成果報告書・資料集, p.130 - 133, 2019/03
高レベル放射性廃棄物には様々な特性の物質が含まれている。これらを特性ごとに分離し、適切に対処することで処分場の負荷を低減することができる。本プロジェクトではこれらのうち長寿命の核分裂生成物(LLFP)の短寿命化に取り組んだが、この技術が実現されると、高レベル放射性廃棄物は放射能が小さい新しい放射性廃棄物となる。新しい放射性廃棄物の処分方法を検討した結果、現在、低レベル放射性廃棄物に対して検討されている中深度処分が適している可能性があることが分かった。中深度処分は、従来の高レベル放射性廃棄物に適している地層処分に比べ、浅い場所に小規模に処分する方法である。これを新しい放射性廃棄物に適用した場合の安全性評価を実施し、今回、本プロジェクトが取り組んだ4つのLLFPについては、安全に処分できる可能性があることが分かった。
天本 一平
Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan, 24(391), p.393 - 401, 2017/11
ガラスは非晶質であるため、組成を変化させることが容易であり、さまざまな特性を制御できる。例えばソーダ石灰ガラスに酸化ホウ素を添加したホウケイ酸塩ガラスは、耐熱性や強度の面で優れており、幅広い用途がある。原子力の分野においても、放射性廃棄物を不動化して長期安定化を図るため、ホウケイ酸塩ガラスが放射性廃棄物の固化媒体として用いられている。高レベル放射性廃棄物を充填したガラスをガラス固化体と呼んでいる。本稿は、放射性廃棄物の分類や処理方法、製造したガラス固化体の特性やその後の処分方法について述べており、さらにホウケイ酸塩ガラス以外の固化媒体についても紹介している。
辻 智之; 星野 譲; 坂井 章浩; 坂本 義昭; 鈴木 康夫*; 町田 博*
JAEA-Technology 2017-010, 75 Pages, 2017/06
研究施設等廃棄物の埋設処分に向けた合理的な廃棄物確認手法確立のために、照射後試験施設から発生した放射性廃棄物に対する放射能濃度評価手法を検討する必要がある。このため、ニュークリア・デベロップメントの照射後試験施設をモデルに理論計算を主体とする新たな放射能濃度評価手法の検討を行った。この結果、埋設処分の安全評価上重要と考えられる17核種(H-3, C-14, Co-60, Ni-63, Sr-90, Tc-99, Cs-137, Eu-154, U-234, U-235, U-238, Pu-238, Pu-239, Pu-240, Pu-241, Am-241, Cm-244)のうち、Sr-90, Tc-99, Eu-154等の14核種に対し、理論計算手法を適用できる可能性を得た。
岡田 翔太; 出雲 沙理; 仲田 久和; 辻 智之; 坂井 章浩; 天澤 弘也
JAEA-Technology 2016-023, 129 Pages, 2016/11
第二種廃棄物埋設規則に規定された廃棄体の技術基準の一つには、「埋設された場合において受けるおそれのある荷重に耐える強度を有すること。」とされ、国によって確認を受けなければならない。そのため、日本原子力研究開発機構では、これまでに各拠点における技術基準に適合する廃棄体の作製に備えて、廃棄体作製に係る基本手順を検討してきており、一部の拠点においてはその検討結果を採り入れて不燃性の固体状の放射性廃棄物を分別し、これに係る作業記録を作成して保管・管理している。本報告では、その際の分別作業記録に基づき廃棄物の組成を設定し、基本手順に従い容器へ収納、モルタル充填材の充填、固型化、養生を行って模擬廃棄体を作製して、コンクリートピット埋設設備に俵積み方式で埋設処分した場合を想定した実載荷試験と、トレンチ埋設設備に埋設処分した場合を想定した実載荷試験を行い、それぞれの模擬廃棄体の変位量及びひずみ量等を測定し模擬廃棄体の耐埋設荷重を設定した。
北村 暁; 桐島 陽*
Journal of Nuclear Science and Technology, 52(3), p.448 - 450, 2015/03
被引用回数:3 パーセンタイル:96.28(Nuclear Science & Technology)Journal of Nuclear Science and Technologyでは、放射性廃棄物処理、放射性廃棄物処分と環境、原子力施設の廃止措置技術など、放射性廃棄物処理処分に関する様々な分野を包含している。本報では近年の動向について紹介する。
田中 忠夫; 坂本 好文; 山口 徹治; 高澤 真由美; 赤井 政信; 根岸 久美; 飯田 芳久; 中山 真一
JAERI-Conf 2005-007, p.105 - 110, 2005/08
放射性廃棄物処分場で使用されるセメント系材料に起因する高アルカリ性環境により、ベントナイト系緩衝材の主要な成分であるモンモリロナイトは溶解変質する。放射性廃棄物地層処分の長期安全評価において求められるのは、放射性廃棄物処分場で使われるベントナイト-砂混合土圧縮体の透水係数の長期的な変化の予測である。「緩衝材透水係数の長期的な変化」の予測を目的としたベントナイト長期変質の定量化は、圧縮体,粉体ベントナイトなど種々の供試体の使用並びにバッチ実験,カラム実験など種々の手法で蓄積した知見に基づき整合性ある検討が行われるべきである。本報告では、実験システムの違いにより得られる知見の特徴や効果的な利用のあり方を整理するとともに、整合性ある実験研究アプローチを提案した。
赤井 政信; 伊藤 信行*; 山口 徹治; 田中 忠夫; 飯田 芳久; 中山 真一; 稲垣 真吾*
JAERI-Tech 2004-058, 47 Pages, 2004/09
TRU廃棄物試験設備は、放射性廃棄物処分の安全評価において必要とされる地中における超ウラン元素(TRU元素)等の挙動に関するデータを取得することを目的として、燃料サイクル安全工学研究施設のバックエンド研究施設内に設置した。本試験設備は、地下深部に特有である還元環境下でデータ取得試験を行うための不活性ガス循環型グローブボックスシステム,放射性核種と人工バリア材及び天然バリア材との化学的・地球化学的相互作用を調べる試験装置(バリア性能試験装置)を内蔵した大気雰囲気のグローブボックスシステム、及び各種分析装置から構成されている。本報告書は、本設備を構成する各装置の原理,構成,機能(測定例),安全設計、並びに本設備を用いた研究成果についてまとめたものである。
第7回NUCEFセミナーワーキンググループ
JAERI-Conf 2004-011, 166 Pages, 2004/07
第7回NUCEFセミナーは、2004年2月20日、原研東海研究所において開催された。本セミナーは原研主催,サイクル機構共催で実施した。NUCEFセミナーの目的はNUCEFに関する核燃料バックエンド分野の研究者が討論,情報交換を行い、研究の効率的な推進,国内協力研究の促進に寄与することである。今回のセミナーでは、基調講演,長寿命核種分離研究に関する口頭発表,廃棄物処分安全規制支援研究に関する口頭発表とパネルディスカッション,燃料サイクルと廃棄物処分の安全性研究及び次世代燃料サイクル開発研究に関するポスター発表を行った。口頭発表は15件(提言1件,基調講演1件含む)、ポスター発表は47件であり、セミナー参加者は281名であった。本報文集はこれらの発表の報文を収録するとともに、パネルディスカッションの議論の概要をまとめたものである。
第6回NUCEFセミナーワーキンググループ
JAERI-Conf 2003-018, 132 Pages, 2003/10
第6回NUCEFセミナーは、2003年2月20日、原研東海研究所において開催された。本セミナーは原研主催であるが、今回初めてサイクル機構の共催を得た。NUCEFセミナーの目的は、NUCEFに関する核燃料バックエンド分野の研究者が討論,情報交換を行い、研究の効率的な推進,国内協力研究の促進に寄与することである。今回のセミナーでは、特別講演,臨界安全性研究と廃棄物処分安全性研究に関する口頭発表,再処理プロセス研究に関するパネル討論及び燃料サイクル施設と廃棄物処分の安全研究等に関するポスター発表を行った。口頭発表は13件(特別講演1件,パネル討論での報告5件を含む)、ポスター発表は30件であり、セミナー参加者は265名であった。本報文集はこれらの発表の報文を収録するとともに、議論の概要をまとめたものである。
大貫 敏彦
原子力バックエンド研究, 9(1), p.35 - 42, 2002/09
さまざまな微生物が地下環境中に生息することがわかってきた。これら微生物の高レベル廃棄物処分への影響について明らかになっていない。本報告では、これまで行われてきた研究を紹介するとともに、将来の研究課題について検討した。微生物代謝による還元,酸化及び代謝産物は、処分施設使用材料の劣化,錯体生成,アクチノイド沈殿物の可溶化,nmスケールのコロイドの生成などをもたらし、処分施設の長期的な閉じこめ性能に影響を与えるとともに、放射性核種の移行を促進する可能性がある。一方、微生物の活動により、微生物による鉱物化,吸着,細胞内への取り込み,沈殿作用により、アクチノイドの閉じこめ能を増す可能性もある。これらの結果は、処分施設の性能への微生物の影響を明らかにするための研究を行う必要があることを示している。
谷口 直樹; 川上 進; 森田 光男*
JNC TN8400 2001-025, 27 Pages, 2002/03
炭素鋼オーバーパックの寿命評価では処分環境における炭素鋼の腐食形態を把握することが重要である。日本における地下水条件を想定した場合、第2次取りまとめにおいて設定された仕様の緩衝材中で炭素鋼は不動態化せず、全面腐食の進展する可能性が高いことがこれまでの研究により確認されている。しかし、軟岩系岩盤における処分では緩衝材のまわりにコンクリート製の支保工を施工することが想定され、緩衝材に浸潤する地下水のpHが高くなることによって、腐食形態に変化を及ぼす可能性がある。そこでコンクリート材料として普通ポルトランドセメントおよび低アルカリ性セメントを用い、アノード分極測定によりセメントと接触した水溶液中での炭素鋼の不動態化条件を検討した。その結果、第2次とりまとめにおける緩衝材の仕様において炭素鋼が不動態化するのは外部から浸潤する地下水のpHが約13以上の場合であり、支保工として低アルカリ性セメントを使用すれば炭素鋼は不動態化しないことが確認された。また、緩衝材の因子(乾燥密度とケイ砂混合率)に対する炭素鋼の不動態化条件を検討した。その結果、第2次取りまとめにおいて設定された緩衝材仕様は十分に裕度をもって炭素鋼が不動態化せず、全面腐食を受ける領域にあることが確認された。
馬場 恒孝
原子力バックエンド研究, 8(2), p.205 - 206, 2002/03
3rd NUCEF International Symposium,“NUCEF 2001"が平成13年10月31日(水)~11月2日(金)の3日間、原研東海研究所において開催された。本シンポジウムは臨界安全性,核種分離,放射性廃棄物処分,TRU化学などの分野において、活発な研究活動を行っている国内外の研究者が情報交換を行って、一層の研究の活性化を図る目的で、原研主催,日本原子力学会及び同学会・バックエンド部会共催の会議である。参加者総数は283人(含国外; 38人)で発表件数は94件であった。シンポジウムは(1)オープニングセッション,(2)プレナリーセッション,(3)3会場に分かれた口頭発表セッション及び(4)ポスターセッションから構成されて、それぞれ活発な討論が行われた。会議参加記として、シンポジウムの概要を紹介する。
杉田 裕; 油井 三和
JNC TN8450 2001-007, 16 Pages, 2002/02
本資料は、地層処分研究開発第2次取りまとめ-分冊2 地層処分の工学技術-の中の設計用岩盤特性値で示されている硬岩系岩盤、軟岩系岩盤の一軸圧縮強度と圧裂引張強度の関係のデータセットである。
本間 信之*; 棚井 憲治; 長谷川 宏*
JNC TN8420 2001-007, 86 Pages, 2002/02
本稿では、今後の幌延深地層研究センターにおける地下研究施設計画に反映することを目的として、海外の地層処分プロジェクトを対象に、その計画や実施中の試験などについて調査を行った。調査対象には、幌延計画への反映を考慮し、堆積岩系や沿岸部の地質環境における次のプロジェクトを選んだ。・スイス Mt.Terri Project(オパリナス粘土(頁岩))・フランス Bure URL(粘土質岩)・ベルギー Mol(ブーム粘土)・スウェーデン Aspo Hard Rock Laboratory(HRL)(花崗岩:沿岸部)・英国 Sellafield Rock Characterization Facility(RCF)(火山岩:沿岸部) 調査では特に人工バリア性能、施設設計施工、支保工、搬送定置、閉鎖などに関わる情報を幅広く収集した。これらの情報に基づき、個別の調査試験の目的、内容、成果について整理するとともに、調査試験の目的、反映先、相互の関連、実施順序などから、地下研究施設全体での戦略やねらい、流れなどを整理した。